新作コマ撮りアニメ制作開始!でもその前に…
先日、大好評のジオラマ作品「こびとシリーズ」の世界観を舞台としたコマ撮りアニメ、「こびとロボット マルとマリ」の制作を開始しました。
2020年1月1日にその第一弾を公開する予定なのですが、その前に僕のコマ撮りアニメの歴史を知っていただきたいと思い、今回の記事を書かせていただきました。
記念すべき第1作目は、僕が高校2年生の頃に一人で制作した、「故障中」というコマ撮りアニメです。
コマ撮りアニメーション「故障中」
アジア最大級の映画祭、"Digicon6 Asia youth部門"最優秀賞受賞作品「故障中」
・あらすじ
本屋に入ろうとするマルくん。
しかし…
ゴンッ!
…自動ドアがなぜか開かず、頭をぶつけてしまう。
ドアに「故障中」と張り紙が。
諦めて帰ろうとするマルくん。
すると、ドアが開いた!
しかし入ろうとして近づくと…また閉まる。
このドア、どうやら近づくと閉まり、離れると開くようだ。
どうやって入ろうか考えるマルくん。
考えた末、近くにあった粗大ゴミを自動ドアの前に置いてみる。
すると、近づいてもドアが開きっぱなしの状態に!
無事本屋さんに入ることができたマルくん。
しかしそれで終わるはずもなく…
なんとそこにゴミ回収ロボットがやってきて粗大ゴミを持って行ってしまった!
閉まる自動ドア…
買い物を終えて帰ろうとするが…
ゴンッ!
またしてもドアに激突するマルくんでした。
・全て一人で。全て手作り。
この動画は、高校2年生(16歳)の頃、半年かけて制作。
脚本、絵コンテ、ミニチュアセット・人形の制作、音楽、アニメーション、編集を全て1人で作り上げたコマ撮りアニメーション作品。
それでは、このコマ撮りアニメーション「故障中」ができるまでの過程をご紹介していきます!
【脚本】
ストーリーは行き当たりばったりで作るのではなく、始まりから終わりまでをキチンと考えておきます。
そうすることで、後で迷ったりすることがなく、スムーズに制作を進めることができます。
【絵コンテ】
脚本を元に、シーン毎の構図や尺を決めていきます。
アニメーションの設計図です。
【人形の制作】
次に、撮影に使う人形を作っていきます。
まずは仮のものを使って、大まかなサイズを設計していきます。
頭はガチャガチャのカプセルで、胴体は塗料の容器をひっくり返して使いました。
手はガンプラの手を、関節はプラモデル用の関節を使っています。
このように、ポイントというか、こだわりなのが「あるものを有効活用する」ということです。
作りたいものを頭の中で想像して、家の中やお店でそれに似てるもの、使えそうなものを探しまくる。
これは、ゼロから作るよりはるかに時間を稼げます。
コマ撮りアニメを一人で作るということは、人形やミニチュアの制作だけでなく、撮影も編集もやらなくてはいけないのでとてつもなく時間がかかります。
その中で省ける時間をいかに省略できるか、が鍵になります。
これで人形は完成!
試行錯誤して制作したマルくんがようやく完成した時は、嬉しくて感動してしまいました。
やっぱり自分で作りあげた子は、まるで我が子のように可愛いものです。(笑)
【ミニチュアセットの制作】
コマ撮りアニメは、人形を手で少しづつ動かして撮影していくので、ミニチュアセットが小さすぎると撮影が難しくなってしまいます。
そのため、1/6スケールという"ミニチュア"と呼ぶには少し大きめのスケールでセットを作っていきます。
一緒に作る人がいなかったので、全部ひとりで楽しく作りました!(笑)
・傘立て
・台車
・本屋のドア
・ポスター
「地球一周旅行」のポスターや「英検」のオマージュ、「宇宙一周99万円」「宙検(宇宙語検定)受付中」など、
クスッと笑えるくだらないポスター。
ただ普通のポスターを作るのではなく、よくあるポスターを面白おかしくいじるのが、私の作品のこだわりのひとつ。
さらっと出てくるだけだけど、見つけられた人がちょっと面白くなってくれればいいなぁと…(笑)
・全体図
壁を貼って道路を作って…
ついにセットが完成!!
ここまでで3ヶ月。
【撮影】
セットと人形ができたら、照明を当てて撮影していきます。
今回は24フレームで撮影しているので、24枚写真を撮ってやっと1秒の映像が出来上がる計算です。
一日中やっても、完成する映像は5秒くらいです。
(コマ撮りは恐ろしい…)
1mmに満たないミクロな動きを繰り返して、撮影を進めていきます。
高校の夏休みを全て使い切り、なんとか撮影も完了!
【編集】
撮影した3,000枚以上の画像を編集していきます。また、人形は自立しないため支えを付けて撮影しています。
Photoshopを使い、それを消していきます。3,000枚分。
そして、音楽や効果音を付けて…
ようやく完成です!!
・アジア最大級の映画祭Digicon6 Asia最優秀賞受賞
これを、アジア最大級の映画祭Digicon6 Asiaのyouth部門に応募したところ…
なんと、最優秀賞を受賞!
この映画祭では翌年より審査員も努めさせていただき、「シン・ゴジラ」の監督樋口真嗣さんや「ニャッキ!」の伊藤有壱さんと知り合うこともできました。
これにより
"アニメーションで世界を目指す"第一歩を歩むことができました。
これで「故障中」の解説は終わりです。
思い出を語っていたら、思ったより長くなってしまいました。(汗)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回は高校3年生の頃制作した「マルとマリ」をご紹介します!
お楽しみに〜
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ええええわえええ (火曜日, 26 10月 2021 13:57)
こんなにこまい動きまで再現してて凄い